T邸 古民家再生
DTAILS
延床面積 ---m²
敷地面積 ---m²
完成時期 2014年
COMMENT
T邸は築100年余になる木造2階建ての商家(店舗併用住宅)でした。
全面商店街道路を3.5m拡幅する計画によって147㎡部分の母屋を105㎡までに減築する必要が生じましたが、瀬戸内海の商店街の風土と地域の文化を象徴している商家は、多くの人々に解体を惜しまれていました。
そこで工事を請け負っていた(株)宮嶋組の社長さんとTさんから
「商家古民家の趣を損なわない再生としての減築を行う」こと
そして
「専用住宅として住まい続けられるよう可能な範囲での漏水対策と耐震改修の工事を実施する」
という条件で、設計と現場管理の仕事をいただきました。
道路に面した建物の拡幅巾と同じ3.5mほどを解体するため、低く抑えられた軒先も商家の文化を象徴する窓格子やショーウィンドウの格子造作も失われてしまいます。
小屋組の過半を解体して棟の高さと位置を変更したり 専用住宅となったT邸にふさわしい木製建具を考えたり 再利用できる「持送り」を活用したり 美しい鎧張りのプロポーションを職人に教えてもらったり
大工・左官・板金・塗装・建具といった木工事の職人ばかりではなく鉄工所や製材所の親方にまで相談しました。
急ぎの工事であったとは言え、もっと工夫できる余地はあったと思います。
工事から5年が過ぎた今でも外部建具や外壁の様子が竣工当時と変わらない姿を見せてくれていることに(まだ早いかも知れませんが)少しほっとしています。
耐震補強
内部間仕切り壁においては押入の間仕切り壁を利用した耐力壁を設置。
1階外壁は新設部分が鉄筋コンクリート布基礎になるため 既存外壁面の束建て柱をホールダウン金物を用いて新設RC土間に緊結した後面材を用いた耐力壁を連続させた。
2階外壁は筋違いを用いた耐力壁を施工。
水平構面には火打ち材を追加した。