アトリエ夏 ateliernatu

I邸

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DTAILS

延床面積 189.63m²
敷地面積 713.73m²
完成時期 2016年

COMMENT 

地域の美しい町並みを支えていた商家の減築でお世話になったTさんが当事務所を紹介して下さったことがきっかけとなってI邸の設計の仕事をさせていただきました。
 
Iさんの購入された敷地には市の中心部にあって武家屋敷を想わせる間取りの古民家が建っていました。
Iさんはこの古民家の造作と 道路に接する北側からやってくる来客に開かれていて 建具を開け放つと風が屋内に行き渡る間取りの考え方に惚れ込んでいました。敷地は南北に31m東西に24mの矩形です。
 
当初古民家再生も考えたけれど老朽化が進んでいるため断念したとお伺いしました。
Iさん自ら時間を作って梁材などの古材を再利用するため丁寧に解体する様子を見て、また家族や身内の大工さんとお気に入りの古民家を見学させてもらって 勉強になると共に古民家に対する付け焼き刃な知識でなんとかなるものかと内心青くなったのを覚えています。
 
一般に住宅のプランは住まう家族の考え方や感性・体質・生活の習慣・持ち込みたい家具などをヒアリングして敷地の条件(接道・風景・季節風の道・採光・プライバシー)を考慮しながら小屋組や耐震性と同時に各室のつながりと動線を詰めていきます。
最初は住宅地にあって南北に長い敷地の条件を生かして団らんの場を中庭に設定し 子供たちのプライバシーと将来の増築を考慮した コの字のプランを描きました。
しかし、そのプランを前にしたご夫妻との打合せの中で 北側の道からやってくる来客に開かれた既存の古民家の考え方を取り入れたプランを という指摘をもらった時には 目が開かれる思いでした。
私は既存の古民家の平面や断面を図面に写したけれど、子供たちの安全やプライバシーにこだわって、Iさんご夫妻が古民家の家造りのどこに強く共感していたのかを理解していなかったからです。
大切な家造りの思想を見落としているよと教えていただいたと思います。
後に「良いプランを描いてくれてありがとう」と言ってもらえたことが今の仕事の支えになっています。